【作品名】COP27ドキュメンタリー 気候危機が叫ぶ Recording The People Voice
【作成/著作】気候危機を記憶する発信型ムーブメント record 1.5
【総合監督】中村 涼夏、 山本 大貴┃ 日本 ┃ COP27 ドキュメンタリー ┃ 2023
エジプト、シャルム・エル・シェイクにて、2022年11月6日から約2週間かけて行われた、国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(通称、COP27)とそれを取り巻く出来事をまとめた。撮影が許された場所のみでカメラを回し、報道されず普段注目を浴びない人々の声の記録となっている。
また、リゾート地での開催がゆえに市民が参加できず、なおかつエジプト政府からの社会運動や人権への弾圧により、COP27が開始してすぐの段階では、アクティビストたちも恐る恐る声を挙げる姿が見られた。次に拘束されるのは私かもしれない。しかし、私たちがその地で参加することには意味がある。
限られたエリアのみデモンストレーションやストライキなどのアクションが許され、徐々に各々の「声」を発し始めた「市民 the people」 。会場内では特定の人物、団体、国などを批判することが国連の規則で禁止されながらも、彼らは何を、誰に伝えたかったのか。COPの外側を今、ここで、ドキュメンタリーという形で記録する。このドキュメンタリーを通して、これまで聞くことのなかった声から気候危機の「危機感」や多様な叫びを知ってほしい。そして、日本のメディアではほとんど発信されないCOPの現場の空気感を何度でも感じてほしい。
変えなければならない。しかし、変わらない現実。連帯の糸で繋がれた人々が、言葉にならない思いを胸に言葉を発し続けた記録です。現場では、問題と向き合うということ、そして声を上げるということへの様々な問いが表出していました。0か1かでは語れないリアルな姿を残すことが、気候危機へ立ち上がる全ての人にとって大きな価値になると、私は思っています。
(総合監督 山本大貴)
日々過ごしていたら見過ごしてしまう、私たちが持ちえる「市民の力」がCOP27の現場にはありました。何気なく過ぎていく日々に、社会を変える人々の声が存在することを何度も気づかせてくれる映像です。私も何度も見るたびに、期待ではなく勇気をもらいます。これはみなさんに見ていただくだけでなく、未来の世代へ引き継ぐ記録物でもあると信じています。
(総合監督 中村涼夏)
【作品名】 「COP27ドキュメンタリー 気候危機が叫ぶ Recording The People Voice」
【作成/著作】 気候危機を記憶する発信型ムーブメント record 1.5
https://record1-5.com/
2022年11月6日、 私たちは取材をはじめた。これまでの気候変動対策を振り返り、 これからの気候変動対策をリードする重要な国際会議であるCOPには、 交渉主体である国や地域の代表機関だけでなく、 企業、 NGO、 研究機関、 運動組織などの市民もまた集う。Chapter 1では、 COPの概要、 今回のCOPで特に注目された議題である「損失と損害」、 COPの会場の構成について、 映像を交えて紹介する。
日本で生きる私たちは気候危機とどう向き合うか。科学技術を全面に出した日本の展示ブース、 応答のない政治家、 化石賞への選出、 また民間企業、 研究機関、 NGOに所属する人々の語る自身のバックグラウンドと問題意識、 そして希望。それらの記録を通じて、 COPという国際的な場において、 日本はどのような位置に立っていたのか、 そして立つべきなのかを探る。
世界各地からCOPに集った若者は、 「若者」という一言では表しつくせない各々の気候正義や感情を語った。Chapter 3には、 日本からCOPに派遣された若者だけでなく、 グローバルノース、 グローバルサウスを含む世界各地からCOPに集った若者の言葉が記録されている。ときに若者ならではの越境的な団結の可能性を語り、 ときに特権を持つ他の若者を力強く批判する彼らの言葉から、 若者の現況をありのままに映し出す。
失望のなかで叫び続ける市民たち。東アフリカ原油パイプライン(EACOP)事業をめぐる、 現地のアクティビストの切実な訴えに対する日本の銀行担当者の受け答えは、 気候不正義を象徴するようにも思われる。しかし、 ときに不誠実に見捨てられる彼らの叫びは、 それでも止むことはない。現に気候危機に生活を変えられてしまっている人々の、 心からの叫びの記録。The people united will never be defeated! (団結した市民は決して屈しない!)
COP27で最も注目された議題の一つに、 Loss and Damage (損失と損害)、 つまり気候危機による被害を既に被っている人々が、 大きな責任を負う先進国などに対して求める賠償の問題がある。Chapter 5では、 数十年にかけて交渉が行われてきたこの問題について、 様々な地域からCOPに集い現地で賠償を訴える人々のアクションの様子や、 各国間の交渉プロセスの進行の速度感も含めて映像でお伝えする。
今回、 現場の声や危機感をリアルなまま共有するために、 私たちはCOP27現地に足を運んだ。Chapter 6では、 COP27での出来事よりもむしろ、 報道では決して伝えられることのない、 私たち自身の思いをありのままに共有する。若者との交流や、 「連帯」というキーワードに感じた希望、 そして、 交渉の現場からの疎外や、 私たち自身の葛藤的な当事者性からうまれる絶望をここに打ち明ける。
気候変動により激甚化した災害で被害を受けた現場と人々
気候変動対策により変わっていく、現場と人々
気候危機に立ち上がる、世界中の人々
激動の社会変化で「気候変動を危機感のまま」すべての人に共有することを目的としたドキュメンタリーをつくりたい。あらゆる背景を持ち、特権と抑圧に向き合う2人、すずか(中村涼夏)とやまだい(山本大貴)の視点から共に考えたい。
そんな思いで結成されたのが、気候危機を記憶する発信型ムーブメント「record1.5」です。